出典元:鳥山明『ドラゴンボール』(集英社)
世界中で絶大な人気を誇る伝説の漫画「ドラゴンボール」。
「週刊少年ジャンプ」(集英社)にて1984年51号から1995年25号まで連載されてきた。
単行本の発行部数は完全版(2000万部)を含み国内で1億6000万部以上、全世界累計で2億6000万部を記録。
今現在でも最新映画が公開され「vジャンプ」では「ドラゴンボール超」が連載されている。
30年経った今もなお、「ドラゴンボール」が年代や国を超えて愛されているのは何故なのか?
みんなの心に少年の心があるからです・・・
見ていきましょう。
誰にでも分かりやすく読者に向き合い続ける
出典元:鳥山明『ドラゴンボール』(集英社)
「DB」最大の魅力は「誰にでも分かりやすい」ところで、主人公の悟空は小学生〜中学生くらいの男の子が好きなもの。
なりたいものを突き詰めて生まれたキャラクター、主人公がどういう価値観を持っていれば読者に響かせることができてどういう絵にすれば伝わりやすいのか。
「常に対象年齢の読者に向き合い続ける」ことと初代担当編集鳥嶋さんは語ります。
確かに話の内容的にも難しくはなく、常に強い者と闘いたいという悟空の価値観は少年の心を掴んでいます。
そこが魅力だからこそ今の少年達にも心は少年の大人にも人気も衰えないのでしょう。
魅力的ではなかった孫悟空という主人公
出典元:鳥山明『ドラゴンボール』(集英社)
それでも孫悟空少年編(初期)の頃は読者の人気が取れなくアンケートではまさかの15位になることもあったそうです。
最大の原因は読者にとって主人公孫悟空は魅力的なキャラではなかったという点。
アラレちゃんがハデだったので悟空は脇役のような目立たない感じにという初期設定。
バトル要素がある話は人気が出ると知っていたのだが、闘いの描写を増やすことに抵抗があったとのこと。
本人曰く「自分はあまのじゃくの性格、すぐにバトルの方にいくのがどうにも癪にさわる」という理由だそうです。
担当の鳥嶋さんには「主人公が地味だから人気がない」と言われてしまいます。
巻き返しをはかるために原点として「孫悟空」はどんなキャラなのか?というのを鳥山明先生と何度も討論をしたそうです。
結論は「強くなりたい」という悟空の気持ちでした。
この悟空の気持ちがまさに読者の心に一番響くメッセージだったということ。
そこで亀仙人や悟空とは対象的なクリリンというライバルを出し、修行編を作り、成果を見せられるように「天下一武道会」が誕生したのです。
主人公を自分だと思わせる
出典元:鳥山明『ドラゴンボール』(集英社)
「天下一武道会」を開催したら読者の人気が爆上がりました。
それは読者が主人公に思い入れを持ってストーリーに入り込めるようになったからです。
読者が主人公に共感できる部分をきちんと用意しておかないとストーリーを消化しきれず「面白くない」と感じてしまう。
でも一度主人公を「自分だ」と思わせたら物語が切実になり「キャラを立てる」。
「シンプルに作る」ということは「主人公」をいかに立てるかということと同意義で、主人公以外のキャラは全部主人公を立てるためにある。
主人公一人を立てるためストーリーを常に整理してリセットしていく。
天下一武道会もレットリボン軍編も4〜8週でリセットして途中から読者が入れるようにしていく。
非常にシンプルに作られているがゆえに今も年代や国を超えて愛されているということです。
読者のページをめくる手を止めてしまってはいけない
出典元:鳥山明『ドラゴンボール』(集英社)
子供は400ページの漫画を大体30分で読んでしまうので途中手が止まっても戻ってもダメなのです。
コマ割りでどれだけ分かりやすく動きを追わせ、同時にどれだけ短いセリフのやり取りでキャラを表しストーリーを語れるか。
アクション漫画はアングルを使い分けなければいけなく、ロング(状況を表す)ミドル(動きを表す)アップ(表情を表す)を描かなければ意味がないと。
読んでいて気持ちが良くなったりページを早くめくりたくなる漫画は、その漫画家に才能があるということです。
鳥山明先生はそれがきちんと出来る天才ということです。
動きで見せる
出典元:鳥山明『ドラゴンボール』(集英社)
出典元:鳥山明『ドラゴンボール』(集英社)
出典元:鳥山明『ドラゴンボール』(集英社)
連載時に流行っていたアクション漫画は「一枚絵」の見せ方です。
『DB』はそれを真似しても仕方ないということから「動き」で見せることにしたそうです。
遠近法を利用して遠くにあるものが近くに来たとき、対象物の大きさで動いた距離がわかるようにしていた。
空中戦では無限のスペースがあり迫力のあるシーンをかけるが色んなアングルでアクションを描かないといけない。
この大変なことを鳥山先生は3Dプリンターみたいな視点が最初からあったので空中戦を描くことが出来たと語っています。
一説によると広告デザイナー時代に、色んな角度から商品を描かないといけなかったから描けるようになったという話もあるそうです。
描きたくないものは描かないようにする
出典元:鳥山明『ドラゴンボール』(集英社)
鳥山先生は「いかに描くか」ではなく「いかに描かないか」。
描きたくないものは描かないで済むように画面構成を行なったそうです。
背景を描くのが嫌なのでポイントを決めてそれを逆算して描いていく。
頭を使って描いていて努力を感じさせない、しなくてもいいようにしていたそうです。
背景を描くのが面倒なのですぐ建物を壊したり、場所を移動したり、荒野や空で戦うというのがこの描きたくないというのにも繋がるのかもしれないですね。
まとめ
誰にでも分かりやすく、主人公を魅力的にするための努力を行い、読者に主人公は自分だと思わせる。
とても見やすい動きと続きを早く見たいと読者に思わせる作りでページを止めることをさせない。
週間連載ということで時間をなかなかかけれないということもあり、いかに描かないということも大事ということが分かりました。
これからもドラゴンボールというコンテンツは続いていくと思います。
みんなに少年の心があるかぎり!
以上ドラゴンボールが年代や国を超えて愛される理由を書かせてもらいました。
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