ドラゴンボールカードシリーズの歴史と制作秘話を振り返る③ヒーローズ編

ドラゴンボール

はじめに

2010年に稼働開始され2024年今でも超人気なデジタルカードゲーム『ドラゴンボールヒーローズ』。

最近だと原作イラストやアプリゲーム『ドラゴンボールZドッカンバトル』とのコラボでとてつもなくカッコいいイラストのカードが沢山出ています。

しかしドラゴンボールカードの歴史は深く、カードゲームとしては1988年から全てが始まっていたのです。

今回も歴史を振り返ると言うことで、3回目は『ドラゴンボール』の全てを反映したゲーム『ドラゴンボールヒーローズ』。

その開発過程と稼働時のエピソードを紹介したいと思います。

別の切り口を考える

「ドラゴンボールヒーローズ」立ち上げメンバーの1人である樋口亘さんはこう語ります。

ヒーローズを作るにあたり、「プレイヤーが孫悟空となって遊ぶ」ドラゴンボールゲームはこれまで沢山あった。

その為、何か別の切り口がないかと考えていた。

いちプレイヤー、ドラゴンボールファンとして、悟空という物語の主人公へのあこがれ、悟空になってみたいという気持ちも大切にしたかったんです。

この理想を叶えるため、20本の企画書に没が出されながらもたどり着いたのが悟空になるのではなく「プレイヤーが悟空たちと共に闘う」というコンセプト。

プレイヤーがドラゴンボールの世界に飛び込みひとりの戦士となる。

これが「ヒーローアバター」の誕生になりました。

企画が通ってから

開発チームと連日合宿をしてアイディア出しの日々。

そんな中で、悟空やヒーローアバターのカードで「ごっこ遊び」が出来ないか?と思いついたと言います。

ヒーローの人形を使った「ごっこ遊び」は、子供の脳内では現実そのものであり、この感覚をカードゲームでも、実現出来たらとても面白いものになると考えたそうです。

例えば筐体のフラットパネルに置いたカードを前に出すと攻撃、というのは、人形遊びで攻撃するときに、人形を前に出すところから発想を得ている。

また、「変身する時でもカードを動かしたい」と、気を溜める部分でカードをこすったのが、カードを動かすことで能力が発動するカードアクションアビリティへと発展したと言います。

様々な工夫

当初から考えていたのがキッズゲームジャンルにこだわらない、大人も夢中になれる対戦ゲームにしたいという考え。

しかし、そうすると戦略を考えられる大人や、強いカードを持っているプレイヤーが絶対的に強くなってしまう。

かと言って運任せだけのゲームではプレイヤーに飽きられてしまう。

どんな条件のプレイヤーでも勝負できる余地を作るために、反射神経や動体視力が必要になるチャージインパクトというシステムを作ったと語ります。

ゲージの動きに合わせて、タイミングよくボタンを押した方が攻撃できるというもの。

これにより、実際、年齢制限無しの大会でも低年齢層が優勝したりしているということです。

オリジナルとIF要素

バンダイナムコエンターテイメント

孫悟飯がスーパーサイヤ人4になる等、ストーリーやキャラに多くのオリジナルとIF要素を取り入れています。

これは若い世代に向けたコンテンツは常に何らかの新しい展開がある、要は「ライブ感のあるコンテンツ」であるべきという考えからということです。

勿論、原作を大事にしてほしいというファンの気持ちは理解しているということで、鳥山明先生や関係者のご協力の下、ファンに納得してもらえるよう努力をしていると言われています。

こういうことが出来るのも、『ドラゴンボール』という作品の懐の深さ故に出来ることです。

映画やテレビアニメの新しい展開に合わせるように日々努力をしている。

『ドラゴンボールヒーローズ』は元々『ドラゴンボール』の全てを入れていくコンセプトなので、今後も原作で登場した要素はどんどん取り入れていきたい。

と語られていました。

ドラゴンボールヒーローズ稼働のタイミング

その背景には、ショッピングモールの普及があったとのこと。

「モール文化」とも呼ばれているそうですが、ショッピングモールでは大人と子どもが同じお店に行って、食事をしたり遊んだりして、同じ時間を過ごす。

そうした消費行動のあり方が、親子でカードを楽しむ動きにつながったと考えています。

ヒーローズの前の作品『データカードダス』でもゲームセンターで親子が一緒に楽しんでいた光景が目に入りました。

原作者、鳥山明先生も『データカードダス』が稼働されているのを見て「ドラゴンボールってすごいね」という感想を漏らしたと言われています。

やはり親子で行きやすい、ショッピングモールの中のゲームセンターで稼働されているということは大きな売り上げにも繋がる所でもあったのでしょう。

開発初期の画像

開発初期はフラットパネルを将棋の盤面のように捉え、俯瞰で遊ぶ戦略的なゲームということだった。

当時からカードアクションの構想があったことが伺える1枚。中央のアイコンには「バースト」の文言。

パネル上で動かすカードにあわせてキャラが動き、直接的にぶつけてこうげきする「ぶつかり勝負」という案。

鳥山明先生の描き下ろしのフリーザ一族ヒーローアバター。

『ドラゴンボールヒーローズ』用に作成したデザインや設定は、原作者の鳥山明先生や集英社の監修を受ける。

ファンが愛している限りコンテンツは終わらない

出典:鳥山 明 『ドラゴンボール』

『ドラゴンボール』が誕生40周年の節目となる、2024年今年に完全新作のアニメとして『ドラゴンボールDAIMA(ダイマ)』が、秋に世界に向けて展開されます。

この新作アニメの展開を作ったのは間違いなく『ドラゴンボール』という作品を愛している世界中の全てのファンのおかげです。

先ほども書きました。

『ドラゴンボールヒーローズ』は元々『ドラゴンボール』の全て入れていくコンセプトなので、今後も原作で登場した要素はどんどん取り入れていきたい。と制作側も語っていることから、『ドラゴンボールヒーローズ』にもこのDAIMAという作品は加えられるでしょうし、もしかしたら今もⅤジャンプで連載中の『ドラゴンボール超』のキャラや形態も登場するかもしれません。

要はまだまだ作品が終わることはないということです。

まとめ

ゲームを面白く、楽しむための工夫やアイディアというのを考える際に、原点となるものは「子供心」なのではないかと思います。

大人になっても心のどこかに幼い頃のままの部分は残っています。

要はどの年代になったとしても「子供心」を持っている大人はいます。

それはとても素晴らしいことです。

面白い作品を作り続けるには「子供心」を忘れてはならないと感じます。

『ドラゴンボール』は正に「子供心」がくすぐられる作品の代表格のひとつです。

自分達が死んだ後でも『ドラゴンボール』というコンテンツは続いていくと思います。

以上、ドラゴンボールカードシリーズの歴史と制作秘話を振り返る③ヒーローズ編、を書かせてもらいました。

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